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2017年11月公開 PISA学習到達度調査(2015年度版)の新しい取り組み「協同問題解決能力調査」

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先日21日、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA: The Programme for International Student Assessment)の新たな取り組みとして、「協同問題解決能力調査」の結果が発表された。

PISAは世界52カ国・地域における15歳の男女約12万人を対象に、3年に1度実施される国際テストである。

PISAの「協同問題解決能力」とは?

「協同問題解決能力」は、昨年12月に発表済みの「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」という評価項目に加えて発表された、新しい項目である。

OECDは”collaborative problem-solving”と表しているが、平たく言うと、他者と協力し問題解決する力のこと。

グループのメンバーがそれぞれ異なる情報を与えられた時に情報交換しながら取り組む力、グループ全員の意見を考慮して最終決断を下す力、またメンバーの目標が一致しなかった場を解決に導く力などが求められる。

まるで就活面接で聞かれる内容みたいな。

調査はコンピュータ上の仮想人物と特定の課題について対話をし、問題解決に最も適すると思われる回答を、4つの選択肢から選ぶというチャット形式で行われる。

(図:毎日新聞

自分を含めた複数人の他者と一緒に問題の解決策を導くという、従来求められていた情報処理能力とは全く色の異なる今回の評価項目。

「初めての取り組み」とはいえ、PISA学習到達度調査の実施母体であるOECDのディレクターであるアンドレアス・シュライヒャー氏は、2012年のTED Talkにて本項目についての重要性を既に語っている。

「人生で試されるのは学校で学んだ知識ではなく、変化に対応できるか」と、この時点で強調しておられるので、今回の調査は待ちに待った第一歩だったのかもしれません。

★PISA協同問題解決能力調査のレポート原文はこちらから:

PISA 2015 Results (Volume V) Collaborative Problem Solving

トップはシンガポール、日本は2位の結果に

さて気になる協同問題解決能力調査のランキングだが、シンガポール(1位)、日本(2位)、香港(3位)、韓国(4位)などアジア諸国が上位を占め、カナダ(5位)、エストニア(6位)、フィンランド(7位)が続いた。

下の表で赤色はOECD平均を上回った国、黄色は平均値、青色は平均を下回った国を指す。(2015 PISA Resultsより抜粋)

シンガポールは最新2018年度のアジア版QS大学ランキング、THE大学ランキングにおいて、日本(東京大学)を凌いでトップに躍り出た国である。

また昨年発表されている個人の学力「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3部門の全てにおいても、平均点でトップを飾った。

加えて今回の協同問題解決能力調査でも、堂々の1位という結果になっていることから、中等教育から高等教育への橋渡しが成功している一例と言えるのではないだろうか。

初等教育から企業との協賛が盛んで、社会に出てから必要な土台をしっかりと育成してくれる。

教育格差や個人の自由という点に関しては賛否両論あるが、包括的かつ重点的な実務主義をやり遂げることのできる社会体制・教育システムと、それを成果として出すというのは、やはりすごいこと。シンガポール政府の教育に対する熱心さが見て取れる。

日本も2位という素晴らしい結果を出した。集団の中で協調性を育む教育指導も、今回のランキングに貢献していることに間違いなさそうだ。

また個人的には、フィンランドも気になる国の1つ。

イギリスの教育研究家ルーシー・クレハンの著書『日本の15歳はなぜ学力が高いのか』によると、フィンランドの幼稚園児は、いわゆる机に座る・文字を覚えるなどの作業を強いられることなく、それらを習得するのに適切な年齢になるまでのびのびと遊ぶらしい。

就学開始年齢を遅くするなど、シンガポールなどとは正反対の取り組みに積極的であるにもかかわらず、両者ともランキング上位にランクインしているのは興味深い。

単なる学力ではなく、その背景にある文化、国民性、歴史などをしっかりと見据える必要があるでしょう。

なお本書はルーシーさん自身のフィンランド、日本、シンガポール、香港、そしてカナダへの旅行記からなっている。学校潜入や教員宅へのホームステイ記録からリアルなデータがまとめられているので、楽しく読み進められてオススメ◎

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本日も最後まで読んでくださってありがとうございました!