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日本の大学がいくら国際化を頑張ったって、日本という国に受け皿がなければ意味がない

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先日行われた成人式で、東京23区の新成人参加者およそ8万3,000人のうち、8人に1人が外国籍だったというニュースがまだ耳に新しい。コンビニへ行けば、今や日本人の店員に出くわす方が珍しいだろう。

英語も海外に行くためだけの手段ではなく、むしろ日本へのインバウンド業界において欠かせない存在となっている今。多様な言語や人材の受け皿としての大学の国際化も、日本にとって重大課題の一つだろう。2016年4月現在、775校ある日本の大学。これらの国際化はどのように進んでいくのだろうか。

日本の大学国際化の今までと、これから

大学の国際化といえば、2008年のG30から早10年。最近になってやっと、英語のみで学士を取得できる学部も増えてきたように思う。

2014年には文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援事業」によって、世界レベルの教育研究を担ってゆくタイプA(トップ型)13大学と、日本社会の国際化を牽引するタイプB(グローバル化牽引型)24大学の計37大学が採択された。また東京オリンピック開催年までに30万人の留学生受入れを目指す「留学生30万人計画」も合わせて、徐々に大学の国際化が進みつつある。

(筆者作成)

スーパーグローバル大学創生支援事業 採択大学一覧

文部科学省 スーパーグローバル大学創成支援より抜粋)

文系って負け犬?もはや日本に興味がないシンガポールの高校生たち

では日本が大学の国際化に全力を注ぎ込んだところで、肝心の学生からの評判はどうなのだろう?

先日、シンガポールのとある高校で開催された世界の大学フェアに参加してきた。土色の壁と白いコンクール床に囲まれた無機質な校舎。会場となった広いホールに、アジア、ヨーロッパ諸国、そしてアメリカ合衆国からの有名大学がずらりと並び、それぞれのブースを色とりどりの資料やマスコットキャラクターで飾る。そこに、定期試験を終えた高校生たちが数百名ほど押しかけた。

日本のブースにいた私は、たちまち質問攻めにあった。そこで受けた質問のトップ3は以下の通りだ。

その1。「大学卒業したら初任給でいくら稼げるの?」

その2。「日本語話せても将来有利にならないですよね?(断定)」

その3。「奨学金を取れる確率はどのくらい?で、いくら貰えるの?」

何が言いたいかって、どの生徒も、超がつくほど現実思考だということ。生徒の約7割が理系科目選択という高校だったからだろうか。とにかく自分に行く価値のある大学を判断するために、どの生徒も、自分の進路について非常に明確なビジョンを描けているようだった。

その他受けた質問は「日本で英語と中国語を武器にしたら、早く出世できる?」「シンガポール人でも日系企業でCEOになれる?」など。キアス。

日本人学生からはよく聞かれる部活やサークル、バイトに関しては、単語すら挙がらなかった。そもそも日本という国に興味がなければ、日本の大学エリアを完全にスルー。話しかけても「日本には興味ない」と一蹴された。

しばらくすると、インド系の容姿をした一人の女子高生が話しかけてきた。赤いメガネをかけた彼女は、自分の黒く長い艶髪をつまみながら、いきなり進路希望について語ってきた。

「ちょっとお話いいですか?私…大学ではアジア文学を専攻したいんです。…I’m sorry.」

え、あいむそーりー?

なんで謝るの?

話を聞くとその生徒は高校3年生で、情報工学分野の情報処理を専門としていた。しかし高い競争率のため学校での成績も思わしくないので、大学受験を機に文転を考えていたのだ。何故謝ったのか問うと、どうやら文系出身となることを恥じているらしかった。「シンガポールで文系出身っていうと、あまり頭がキレない人たちよ」なんてことまで教えてくれた。どんな分野であろうと、自分が好きなことを専念する方が素敵なのに。

彼女によると、シンガポールでは日本=理系科目というイメージが定着していないので、日本の大学に行くと出世できない!とネガティブに捉える優秀な学生も少なくないという。あながち間違いではないかもしれない、と思ってしまった。

理系選択でなかったとしても、「折角日本で勉強しても、日本語は役に立たない。」「折角日本で勉強しても、希望通りの給料がもらえない。」「折角日本で勉強しても、卒業後に専門性を追求できない。」「職場で差別もあるらしい。外国人にとって住みにくそうだな。」「やめようか。」と、こうなってしまう。

日本の大学がいくら国際化を頑張ったって、日本という国に受け皿がなければ意味がないのだ。

シンガポール人にとっても日本人にとっても、国際化の受け皿が整っていない日本

日本人がアピールポイントだと思っている他の点においても、残念ながらシンガポールで好反応を得るのは難しい。

豊かな自然→北海道へは行ったことあるよ!(=旅行で事足りる)

アニメ→いやネットで無料で観れるよ。シンガポールでもアニメフェアあるし。

ファッション→コスプレはしたくねぇw え、冬服?寒いの嫌w

ノーベル賞受賞者の数であれば売りにできるかもしれないが、皆んながみんな、ノーベル賞を目指しているわけではないし。少なくともシンガポール人にとって、学術やキャリア形成において日本があまり魅力的に映っていないという事実は拭えないようだ。

また日本人でも、日本の大学に窮屈感を感じたことはないだろうか。

「折角海外留学して語学力を高めたのに、日本の大学に戻ってきてからそれを維持できるカリキュラムがなかった。」「折角学生時代に外国語習得を頑張ったのに、卒業してからはろくに使ってません。」こんな経験も少なくないのではないだろうか。

大学入試も変わってきてはいるけれど、個人的には”今さら感”が半端ない。日本の大学受験や就職活動は十人十色の人生経験を、皆んな一緒の、味気ない箱にぎゅっと詰めてしまっているように思う。海外留学経験者の数だってうなぎ登りに増えているのに、帰ってきた優秀な人材をきちんと迎え入れられていないのは非常に勿体無い。

先の述べた「2020年までに留学生30万人」という政府による指標も、大学の国際化に貢献すると同時に、日本の人材確保にも繋がっている。

日本人と外国人両者に対して、日本のイメージ作りから卒業後のフォローアップまで、日本の大学の国際化に求められる課題はまだまだ尽きない。今後どうなっていくんだろう。

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本日も最後まで読んでくださってありがとうございました!