写真で見る世界の町 - Photo Walk -

世界のどこにいても「心安らぐお気に入りの空間」を”DIY”する

シンガポール生活

初めての海外留学は2012年だった。アメリカ・カリフォルニア州のサンタバーバラという港町に、半年間滞在することになった。

さて、何を準備しよう。

バックパックすらしたことのなかった私にとって、アメリカなどは想像すらつかない遠い地の果て。文字通り地球の裏だしな。なので日本にあるものは、アメリカでは当然手に入らないものだろうとタカをくくっていた。

お湯で作れる味噌汁、緑茶、醤油はトランクに詰めるべき必需品だと思っていたし、実際はこうした調味料でスーツケースの半分が埋まってしまった。

今、同じ作業を求められたら、絶対にお味噌汁や醤油になんて手を伸ばさないけどね…。そんなものは現地の日系スーパーで手に入るんだけど、初めて日本の外に出るときは全く知る由もなかったんだ。

カリフォルニア留学中は学生寮に入り、女子4人で1部屋をシェアしていた。

通称「豚小屋」。

スーツケースを1つ広げれば足元が埋まってしまうほどひしめき合った場所だ。2段ベッドが2つに、小さな机が1つ。プライベートの「プ」の字もなかったその部屋で、私と、中国人、アメリカ人、そしてメキシコ人。生活様式の異なる4人が同時に生活する。

共同生活にストレスを感じるようになって、ふと気がついた。

ここには私の「安らげる場所」がない。

机上に飾られた花束、友だちとの思い出がいっぱいのコルクボード、アイディアが詰まった手芸箱。

お味噌汁じゃなくて、梅干しでもなくて、本当に足りないのは「お気に入りに囲まれた心休まる空間」だったのだ。

世界のどこにいても「心休まる空間」を自ら”DIY”する

一度海を越えてしまえば、ないものは、ない。

これは事実。

特に自分が慣れ親しんだ「お気に入り」の環境そのものは、国境を越えて持ち運ぶことができない。

であれば、新しい場所でも手作りしてしまえば良いのだ。心地の良い空間を。

ゼロから自分にとって心地の良い空間を作ることも、海外生活のスキルの1つかもしれない。

① 自分の好きなものが何か知る
② ①を手に入れるために自分の生活する町を知る
③ 実生活に取り入れる

これができればきっと新しい場所でもうまくいく。

何が自分の心の安定剤なのか把握しておく

物うんぬん以前にプライベート空間がなくちゃ耐えられないわ!という人もいると思うけど、今回はとりあえず物の話をしたい。

自分が好きなものに取り囲まれるには、まず自分は何が好きなのかを知る必要がある。あればいいレベルではなくて、ないと精神的病む位、自分にとって必須なものが望ましい。

お気に入りタオルケット、温かい記憶を呼び起こす香水、ここぞという時の一張羅とか。

例えば私の場合は「花」だ。

目に付くところに少しでも植物があれば、どんなに追い込まれようと一息つくことができる。反対に、コンクリートに囲まれた無機質な空間に押し込まれると途端に息苦しくなる。心休めるなんて到底できない。砂漠に放たれたら一発で精神ヤられて病むんだろうな…。

だから滞在場所がどんなところに変わろうとも、自分のプライベートスペースには必ず花束を飾っている。

もっとも東ティモールでは花を育てるには適さない気候だったので、造花で諦めるしかなかったけれど。

お気に入りを手に入れるために滞在先の知る

自分にとって不可欠なものがわかったら、次に必要なのはそれを見つける作業だ。

新しい街に滞在するときは、いかに自分の街を熟知しているかが生活様式を天国にも地獄にも成し得る。

シンガポールにやってきて早々、私は花屋リサーチを始めた。

正直シンガポールの花屋はセンスがない。特に個人経営ではなく、チェーンの方。

原色の花々をかけ合わせたり、同じ大きさの花ばかり集めたりしたものばかり目について、何故だか購買意欲をかき立てられないんだよね。かすみ草さえ加えておけば、なんとなく可愛らしく仕上がって万事OKと勘違いしちゃってるような。

極めつけは、花々にホチキスやセロハンテープで加工が施されていることだ。

女性の手のひらサイズほどの見事なガーベラに感心しておたら、なんと花弁の裏側がセロハンテープで固定されていたこともある!大きなひまわりを3本も束ねた夏らしいブーケは、葉っぱが花の邪魔をしないように、半分に折りたたまれてホチキスで留められていた。そろそろ旬の時期を終えようとしている薔薇には、萎れてしまった頭シャンとさせるために、茎から首根っこにかけて針金が巻かれていることも珍しくはない。

は、花がかわいそうすぎる…泣

どうやらシンガポールでは、もらった花を花瓶に生けて育てる楽しみではなく、誰かに手渡すその瞬間でいかに綺麗に見せられるかを重要視してるようだ。花を購入しても、日本では袋にそっと入れてくれるような「切花延命剤」なんて貰えないしね。

海外で働くというトレンドに拍車が掛かっている今、語学力、コミニケーション能力、異文化理解などが海外滞在必須スキルとして挙げられることが多い。

けれど、「どんな環境においても自分のお気に入り空間をDIYすることができる」ことも立派な能力と言えるのではないだろうか。

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本日も最後まで読んでくださってありがとうございました!