米朝首脳会談にみられるシンガポールの治安対策

開催が目前に迫った、米朝首脳会談。

先日9日から現地コーディネーターとして取材班と同行させていただいていおり、連日関連施設を追ってきた。

両国首脳が向かっている会場は、セントーサ島に位置するカペラホテルとされている。

「緊張が走る」「厳戒態勢」など報道されているように、さぞピリピリした空気が流されているに違いない。

「大丈夫?」日本に住む家族や友人からは、心配の声をもらった。

しかし、実際にシンガポールに住んでいると実感するのは、今回の首脳会談が多くの人にとっていかに「他人事」であるかということだ。

一大イベントに燃えたぎる報道陣。

かたや、平和な生活の邪魔をされたくない国民。

何がすごいって、この両者の主張を守りつつ、「最高のエンターテイメント場所」を提供したシンガポール政府の機転の良さだ。

自らステージを提供するシンガポールの治安統制

シンガポール政府はつくづく、人々の「自由」を操ることに長けている。

「ある程度の自由を飼いならさせる」ことによって、生活に対する人々の不満を根絶しているのだ。

会合のために集った報道陣や観光客への扱いにも、同じような印象を受けた。

メディアセンター入り口付近のバルーン。

第一次セキュリティーチェック。

例えば、10日午前より、シンガポールのF1ピットに開設されたメディアセンター。

米朝首脳会談のため集った報道陣に向けに、2,000席500ブース(中継用モニター&高速Wi-Fi、その他備品付き)が用意されるという手厚さだ。

臨時メディアセンターが開設されること自体は、決して珍しいことではない。

興味深いのは、今回メディア登録した2,500名にものぼる報道陣の数を、容易にさばける規模感だということ。

同行した取材班のメンバーは、「早い者勝ちであるブースを確保するために陰湿なやり口を使う人がいない。席数が十分にあるので皆んなピリピリせずに済む」と話していた。

来るものは拒まず迎え入れ、野放しにせずあえて好条件を与えることで来客を統制する。

スマートなやり方がいかにもシンガポールらしい。

抜け穴だらけのセキュリティー?

米朝首脳会談の会場カペラホテルのあるセントーサ島。

本土から島へと続くロープウェイは、前日である11日もセキュリティーチェックなしの通常運転だった。

ユニバーサルスタジオその他アトラクションも閉鎖予定なしだ。

セントーサ島へと続くモノレールに沿って伸びる橋には検問所が設置されているけれど、同じく「厳戒区域」にあるロープウェイでは、いとも簡単に島に降り立つことができてしまった。

しかもロープウェイを降りれば、カペラホテルまで徒歩22分という驚きの近さ。

左上、かすかに見える赤い屋根がカペラホテルだ。

周辺は木々が茂っていて全貌は捉えられない。

ダメ元で歩いて突撃してみたところ、なんと容易にホテル前までたどり着けてしまった。

歩道に沿って置かれた柵

11日午前。ホテル前。

もちろんこの先に踏み入ることは断念せざるを得なかったけれど、監視社会シンガポールの、あまりにも無駄のない治安統制には驚いた。

シンガポールで最多の発行部数を誇るThe Straits Timesによると、2012年から2016年にかけて、シンガポールのHDB(公共住宅)8,600ブロックにおいて52,000台もの監視カメラが導入されたらしい。

それにシンガポール政府によって、「問題」を起こした者を社会的に抹殺するのは容易であるはず。

監視の目が光っているから大丈夫だろう。

特に大きな問題は起こらないだろう。

国民からは、政府の治安維持を信頼しきっている様子がありありと伺える。

だから町中でこんなにも緊張感を感じないんだろう。

一方で、それを巧みに操る政府。

この、双方が腹を割らずともできあがってる信頼関係が、なんとも気味悪くて、興味深い。

本当謎だらけの国、シンガポール。

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本日も最後まで読んでくださってありがとうございました!