シンガポールで目撃した掟破りの就職方法

海外生活

シンガポール人材開発省(MOM)によると、今年3月時点でのシンガポール人と永住権(PR)保持者の失業率2.8%と低水準を維持している。

郷に入れば郷に従えということで、シンガポール人のシンガポールにおける就職活動も、私たち外国人のそれとは異なるんだろう。

シンガポール人の友人らによると、やはりシンガポールの就職活動にも当たり前のごとく政府が介入しているらしい。

高等教育卒業に伴いCareers@Govという政府主導のポータルサイトを利用して就職先を探すことが一般的だそうだ。

Careers@Govのメインページ

ただしこれはあくまでも1つの方法であって絶対ではない。

実際にシンガポールの学士を手にし当地で就労している友人らの中には、日本ではなかなか考えられない方法で内定を手にした強者たちもいる。

Linkedinをフル活用したインドネシア人男子

シンガポール国立大学でビジネス学部を選考していたインドネシア人の友人は、現在大手テレビ制作会社で番組指揮を務める超優秀社員だ。

口を開けば「職がない」「自信がない」「未来がない」と底なしの悲観論者だったにもかかわらず、就職活動に成功した途端、こちらが聞いてもいないLinkedinでの就活極意を語り出した。

Linkedinはビジネスに特化したSNS。100万人超というユーザーを誇るシンガポールでは就職・転職活動においても主要なツールの1つとして確立しており、求人サイトや職業斡旋企業の担当者から直接連絡がくることも決して稀ではない。

まず、Linkedinの「Job」欄に上がっている求人情報。

友人が応募したというポジションは合計120以上。笑

過去の検索履歴などから関連性の高い求人が表示される。普段からLinkedinのプロフィールを充実させておけば、面倒な履歴書作成とは無縁の「Apply」ワンクリックで応募できるポジションもあるそうだ。逐一重たい腰をあげなくて済むのは便利かもしれない。

Linkedinの求人情報画面

次に、就職希望先の社員をサーチすること。

Linkedinでは社名や職名、産業など検索フィルターの種類が充実している。自分が狙っている職に近い人々を探し出し、話を聞きたいとメッセージを送るには適していると思う。実際にインドネシアではSNSを活用したOB・OG訪問が主流だそうだ。

最後に、プロフィール欄に「求職中」を示す文言をいれておくこと。

“Open to new opportunity”

“Seeking for new opportunity”

“Currently between jobs”

すると、こういったキーワードで候補者を探している斡旋企業から、1日に何件もメッセージをもらえるらしい。

私も過去にLinkedinのアカウントを持っていたが、当時はこんなメッセージが送られてきたことがある。

Hey, I realized that you have a pretty picture and nice profile, and I want to know you more. Waiting to hear from you. – Roger

やぁ、君の可愛い写真とイケてるプロフィールが目に入ってね、もう少し君のことを知れたらと思ってるんだ。返事を待っているよ。 ロジャーより

いや誰やねん。

億万が一テニスプレーヤーのロジャーだったら返答していたかもしれないけれど、残念ながら胸元の極端に開いた白シャツを纏った胸毛ボーボーおじさんだった。

賞賛するなら職をくれ。

程なくして全く同じ文面がTonyという別人から送られてきた。

先日「Linkedinって出会い系だと思ってた!」という友人がいたのだけれど、これは出会い系どころか完全なるスパムじゃないだろうか…。

ちなみにLinkedinでの正しいお仕事の探し方はこちらからどうぞ → Linkedinで仕事探し(英文)

社内イベントで内定を掴んだインド人女子

一方、元同僚であり良き友人のインド人は、採用面接をする前に社内イベンドに参加し内定を掴んだ。

インド人の両親と3つ上の兄を持つ、インド生まれ・タイ育ち・シンガポール在住の22歳女子。以前シンガポールから船で1時間ほど離れたところにあるバタム島に女子2人旅に行った時でさえ、百科事典かと疑うほど分厚い本を意気揚々と持ち運んでいた文字通りの「本の虫」だ。

もう幾分か前の話だけれど、ある日の晩に突然whatsuppでメッセージを送ってきた。

Can you teach me bowling haha.

(ボーリング教えてくれない?笑)

確か彼女が希望している転職先はIT会社だったはずだ。ウェブマーケティングを極めたいと言って、独学でGoogle Analyticsやeコマースに没頭しているのも知っている。だけど、ボーリング?人生で片手で収まるくらいしかボーリングに行ったことのない私が教えてあげられることなんて微塵もないのだけれど。

理由を尋ねると「最初の面接で必要なの」と言う。

履歴書を送った会社の人事から、「来週社内のリクリエーションイベントでボーリングがあるから、あなたも良かったら参加して」とお誘いがあったらしい。採用面接が1回も済んでいないのに相手企業のイベントにお呼ばれするとは、もう身内として扱われてるも同然じゃないか。

ただし当の本人はボーリングのスコアが悪かったら取り消されるのかもしれないなどと震えている。そんなバカな話…いや面接よりもイベントにお声掛けがある時点でぶっとんだ話だけれど、倒したピンの数で判断されるなんてあるわけないと信じたい。むしろ人事や上司の機嫌を打ち負かさない程度のスコアの方が反感を買わなくて済むのではないかと役に立たないアドバイスだけして彼女を送り出した。

結果はやはり合格だった。イベントの最中に、今後一緒に働くチームメンバーと深い話ができたらしい。チームに必要なことが、彼女のスキルとマッチしているという人事の判断から、その場で受け入れられたそうだ。

会社が求めているスキルがあって人間関係構築に大きな支障がなければ非常に無駄のない採用がなされる。シンガポールの就職活動はやはり迅速で合理的だ。

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本日も最後まで読んでくださってありがとうございました!