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【ハルアキラ 第2話】1日の時間について

フィクション

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 

僕らは図書館にいた。休日の昼間にタダで時間を潰すのに図書館ほど適した場所はない。

 

あぁぁ時間が欲しいっ。ハルが唸った。

 

なに?休日の図書館で仕事してんの?間違ってるな。図書館は寝る場所だぜ。まぁ僕は無職だし時間ならいっぱいある。ちょっと買い取らない?

 

それ、お友だち割引は適用されるのかしら。できるなら1日24時間じゃなくて、36時間くらい欲しい気分だわ。追加の12時間は、わたし以外の人の時間は止まってて、自分だけの作業に没頭できたらいいのに。

 

マジかよ、エロビデオの設定みたいだな笑 そんなに仕事忙しいんか。寿命縮むぜ。

 

なら、むしろ寿命を買い取りたい…。

 

デスノートみたいだな笑

 

仕事が終わらないんじゃなくて、もっと自分のやりたいことだけに集中できる、まとまった時間が欲しいのよ。仕事も人間関係も、全部忘れてね。アキラはそう思うこと、ないの?

 

ないない。むしろ1日24時間が長いと思ってる。睡眠の質が悪いのか4時間くらいで目が覚めちゃうんだよね。だから昼間シャッキリ活動する体力がない。そんで図書館で居眠りしてるってわけ。もし1日が18時間くらいだったら僕の睡眠のリズムに合うと思うんだ。

 

えー、時間を持て余しているってこと?うらやましすぎるわ。

 

うーん、持て余してるわけじゃなくてまる1日元気が持続しないんだよね。夜になるころには疲れてぼんやりしちゃう。残業の後に夜の街へ繰り出す人の気が知れない。

 

そうなのね。だから1日が通常より6時間短かったら、ぼーっとしてる無駄な時間を省けると。

 

そうそう、そういうこと。なるほどね、1日に必要な時間ってのはその人の体力とか持ってるエネルギーによるのかもな。僕は24時間でも終わらないようなタスクを、そもそも1日に詰め込もうとすら思わない。疲れちゃうからね。「ぞうの時間、ネズミの時間」って本を思い出した。

 

鼓動のドクドクが早い方が、早死にしやすいっていうわよね…。

 

ハルが不効率に動いている気もしないし、それでも時間が足りないってのはやる事を詰め込みすぎなんじゃないかな。

 

はは、確かに生き急いではいるかも。笑 何かをやっていないと、自分がダメになってしまう錯覚に陥るの。例えば3日間のホリデーがもらえても、毎日うちにいる生活は考えられないわ。きっと3日目の最後には、わたし今まで何をしていたんだろう、他にできることがあったんじゃないかって、後悔する。

 

そりゃマジで生き急いでるね笑 僕としては、何をしたかも大切だけど「何をしなかったか」が人生の決め手になると思うんだ。興味ない人に会って時間とカネを無駄にしたり、効果がないセミナーに参加して達成感をドーピングしたり。僕はエネルギーが足りないからこそ、無駄だと微かにでも思ったら全力拒否だね。時間が足りないハルも、やることを厳選すれば時間に余裕が生まれるかも。

 

「何をしなかったか」か、なるほどね。あちらこちらに手をつけて、何もかも中途半端になるのは、結局何もしないことと一緒かもしれないしね。言われてみれば、わたしは何でもかんでも溜め込むクセがあるのかもしれないわ。削減するより、蓄積することが好きみたい。高校の受験勉強で英単語を覚えるときって、日本語の単語を見つつ、赤シートで英語の部分を隠して答えるっていう超アナログ方式があったでしょ。わたし、いつも間違えた問題に印をつけるんじゃなくて、正解した問題にだけ「✔︎」をつけるようにしてたの。おかげで単語帳はカラフルな書き込みだらけでボロボロだったけど、その蓄積によって「やりきった感」に浸ってしまっていたのかもしれないわね。まぁ蓄積するのが好きである以前に、三日坊主っていう難点もあったんだけど…。

 

あぁー。日本の教育ってそういうところあるよね。漢字を30回書きましょう、みたいなアホなやつ。漢字を覚えさえすれば1回も書かなくたって良いはずなのに、覚えるための不効率な作業が目的とすり替わっている。ハルはまだ若いけど僕は三十路に突入したくらいから、健康寿命の折り返し地点を過ぎたなって感じている。人生があと少ししかないって意識すれば、無駄な作業や下らない連中と時間を無駄にしなくなるかも。

 

そうなの。国語の授業でも、漢字は合ってるのに「トメハネはしっかり」ってバツされてさ。歴史のテストだって、中国最後の皇帝「溥儀」の一文字目、右側を「専」って書いて「、」がなかったからって2点減点よ。細かいところで、たくさんダメダメって言われて、やる気なくなっちゃったな。あれこそ、無駄な作業と、無駄な精神疲労だったかもしれないわね。やっぱり、シンプルに生きるのが一番!

 

そう思う。無駄だ、意味ない、無価値だ。ちょっとでもそう感じたら、やらない、会わない、行かない。これだけで1日を18時間くらいに圧縮できる気がする。残りの6時間は酔っ払ってひっくり返ってればいいんさ。というわけで飲みに行こうぜw

 

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

※リレー小説 ハルアキラ 共同著者:ししもん

【ハルアキラ 第1話】労働について

https://shishimong.com/2018/08/03/haruakira_roudou/

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